研究内容

体験のデザイン

ユーザーの感覚や感性、取り巻く環境、状況、文脈を計測し、より良い体験を提供する製品やサービスのデザインを研究しています。


視覚×触覚のマルチモーダルを活用したパッケージデザイン



商品パッケージの表面にベロアやレザーなど「特定の触り心地がする素材」と、すべすべ、もちもち、など「触り心地を表す印象語」を表記することで、中身を具体的にイメージできるようなパッケージがデザインできるかどうか、それが購買にどう影響するのか、を研究しています。ハンドクリームを題材に、中身の触り心地を想起させるパッケージが印象語×素材の組合せでデザインできることを認知心理実験により検証しました。さらに、それらの購買意欲への影響を検証した結果、イメージした感触と実際の感触とが類似しているパッケージの方が商品に対する印象が良くなり、購入意欲も高くなる傾向があることが分かりました。また、商品自体の触り心地の違いによって、評価が高いパッケージの印象語×素材の組合せが異なることも分かりました。このようなパッケージのデザインは、コロナ禍でテスターの使用が難しくなった店舗やネット通販において、消費者の購入判断の支援となることが期待できます。



共同注意による博物館展示室の誘導方法



博物館や美術館の展示室では通常、鑑賞者は矢印の看板などで順路を誘導されます。しかしこの誘導法は展示室の雰囲気や世界観を損なってしまう恐れがあります。さらに、鑑賞者がより自由に積極的に経路を選択できるような仕掛けがあれば、鑑賞の行為自体にポジティブな効果が生まれる可能性が期待できます。本研究では、鑑賞者にさりげなく経路を誘導する方法として、共同注意を用いた方法を提案しその効果を検証しています。検証は、VR空間に博物館・美術館の展示室を再現し、そこにアバターによる共同注意を実装することで行いました。アバターによる共同注意の有無によって鑑賞者の行動が異なることがVR空間上で実証されました。